一部の農地には近隣に電力需要が存在しない可能性がある
ただしソーラーシェアリングにおいても、災害時に活用できるような設備でなければなりません。そのため、自立運転機能付きパワコンや給電用のコンセントの設置は必要です。
また、全量売電だけを目的としたソーラーシェアリングの導入はおすすめできません。ソーラーシェアリングでは、土地の面積や営農の運営方法、施設の設計などさまざまな条件を満たさなければならず、農業の未経験者にはハードルが高いためです。
50〜250kW未満は大きな変更点なし
50〜250kW未満の設備については、FIT価格や適用期間などの内容か従来の50kW以上と同じになっており特に大きな変更点はありません。
2020年度で全量売電を行う野立て太陽光発電設備を設置する場合は、50〜250kWが主な選択肢となるでしょう。
一方で50kW以上の太陽光発電設備については、専門の資格を持った安全技術責任者の設置や、さまざまな届け出が必要となります。
そのため、50kW未満の設備よりも管理に時間や手間がかかる点に注意が必要です。
250kW以上は入札制に移行
250kW以上の調達価格は、入札によって決まる仕組みとなりました。
入札は、最も安い売電価格を提示した業者から順番に売電価格が決まり、全体の募集容量に達した時点で終了します。また、入札に参加するには事業計画書の提出や、手数料・保証金などの支払いが必要です。
入札の対象は2019年にも2,000kW以上から500kW以上に拡大されたばかりです。今回の改訂でさらに対象が広がり、今後も拡大していく可能性があります。
2020年に太陽光発電を設置すべき理由
太陽光発電における最大のメリットは、FIT制度により一定期間固定価格で電気を買い取ってくれる仕組みにあり、FIT制度の財源は、再エネ賦課金という形で国民の電気料金に上乗せされて集めています。
しかし、太陽光発電の普及が進んだことでFIT制度の運営に多くの財源が必要となり、国民の負担も増加していたことから、FIT制度は2019年度で終了すると予測されていました。
実際は、2020年もFIT制度が続く見通しですが、太陽光発電にいたっては2021年以降いつFIT廃止の可能性は十分にあります。そのため、太陽光発電を設置する場合は早急に計画しておくことをおすすめします。
仮にFIT制度が終了した場合は、250kWh以上で導入予定の入札制や、海外で採用されているFIP制度に移行する可能性があります。
FIP(フィップ)制度とは?
FIP制度とは、電気の市場価格に一定額のプレミアム(割増価格)が上乗せされる売電方式です。
プレミアムの額は市場価格にかかわらず固定の場合や、市場価格に応じて変動する場合などさまざまな形があるうえに、どれが採用されるかは定かではありません。そのため、売電収入の予測が立てづらくなる可能性があります。
10〜50kWのFIT価格は、2012年の40円でしたが、2020年度では13円に下がる予定ですので、魅力が低下したと考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、FIT価格が低下しているのは、設備の設置費用が低下したからです。太陽光発電の普及が進んだことで、業者間の価格競争が進み、低コストで太陽光発電設備を設置できるため、魅力が低下したわけではありません。
さらに、中小企業にとって太陽光発電には、多くのメリットがあります。
どのようなメリットがあるかについては、次の項で解説しますので、1つずつ確認していきましょう。
中小企業が太陽光発電を設置する3つのメリットとは
中小企業が太陽光発電の導入するメリットは、以下の3点です。
- 電気代を削減できる
- 税制の優遇が受けられる
- 非常時の電源を確保できる
2020年に中小企業が太陽光発電を始めるとメリットがあるにもかかわらず、何も知らずに設備の導入を見送ると、大きな機会損失に繋がりかねません。
一方でメリットを把握したうえで、太陽光発電施設を導入すると、安定した企業経営を目指すうえで大きな助けとなる可能性があります。